べっ甲というフレームの修理   (長野県岡谷市)


お客様よりべっ甲のフレームの修理をお受けしました。

べっ甲とは

べっ甲(鼈甲)とは、比較的温暖な海に生息するウミガメの一種である、タイマイの甲羅を加工して作られた工芸品のことです。メガネフレームの他にも櫛やかんざし等にも使われています。

べっ甲フレームは現在大変高価です。主要因は「原料の極端な希少性」「熟練職人による手作業」にあります。1975年以降原料(タイマイ)の輸入が禁止され、現在はそれまでに流通した在庫のみで作られていて、昔ほどべっ甲を求める人は少なくなっていますが、年々価値が高騰しています。

べっ甲と琥珀の違いは

べっ甲と琥珀は、どちらも飴色をした高級天然素材ですがその由来が全く異なります。べっ甲は「ウミガメの甲羅」、琥珀は「植物の樹脂」が化石化したものです。琥珀は軽く、見分け方として琥珀は「塩水に浮く」という特徴がありますがべっ甲は沈みます。

べっ甲は再生できる

べっ甲はタンパク質であるため、汗や油分を放置すると劣化の原因になります。使用後は空拭きし、乾燥や高温を避けて保管することが重要です。ただしメガネフレームとし使っている多くの方、ほぼそのまま使用している方が多いと思われます。先セル等折れてしまった場合は継ぎ足してきれいに修復することも可能です。

今回の修理依頼とは

何十年も前に買ったべっ甲フレーム…残念ながら経年劣化でほぼ朽ちていました。職人さんも少なくなってきているため高額になりますよと伝えましたが、それでも修理してまた使いたいと言われお受けしました。

今では修理職人も自分で作ったものでないと手を出さなくなってきているようですが、今回はブロー(眉の部分)の新規作製があり快く引き受けてもらいました。ある程度のものは傷んでいても磨き直しできれいになりますが、さすがに今回のものは劣化が激しく磨きだけでは元に戻らないようです。

最高級とされる飴色の「白甲」、濃茶色の「黒甲」、まだら模様の「ばらふ甲」など、採れる部位や色調によって分類され、色が薄くなるほど金額は上がります。今回は「黒甲」で作製しました。

 

一個づくりでの対応でもともとのブローより若干太くなってきました。先セルの部分は削り+磨き直しでの対応でしたが、しっかりとした深みのある磨き込みでしきれいに直ってきています。

なんでも直せるわけじゃない

今回はフロント部分はブローの新規作製だけでしたが、もちろんオールべっ甲というプラスチックフレームのようなデザインもありますね。フレームが切れただけのものならつなぎ直しもできますが、今回のように劣化が進みフロントの新規作製となるとメチャクチャ高くなるでしょう。フロント部分は熱をかけてレンズを入れるわけですから大変になってくるわけです。

遺産分けでべっ甲フレームを手に入れる方もいらっしゃると思います。デザインだけではいかにも年より臭くなるデザインのものがほとんどではありますが、「親父の掛けていた眼鏡だから・・・」と掛けようとする方もいます。そんなフレームをお持ちの方はぜひご相談ください。きれいになれば「よし、掛けてみよう…」という気持ちになり親父さんも喜んでくれますよ。