こんにちは、長野県岡谷市の大成堂です。先月までのセールにご来店、ご購入いただきありがとうございました。10月にはいりようやく本格的な秋がやってきましたね。今週末も世間は3連休になるの行楽シーズンの今、お出掛けになる方もいると思います。
行楽シーズンのお出掛けだけではなく、普段のお買い物などの際に値札の文字や商品品質の文字など離さないと見づらくなっているかたはいませんか?それがいわゆる「老眼」がはじまったことにもなりますが、大成堂に来店されるお客様から「老眼」や「老眼鏡」に関する質問を聞かれることがあります。「近視の人は老眼にならないって本当ですか?」「老眼鏡を掛けると老眼が進むって聞いたのですが」など。「老眼」とは近視、遠視かかわらず誰にでも訪れる加齢現象の一つです。今回はそんな「老眼」や「老眼鏡」に関しての質問と答えをもとに情報を収集していただき、知識をつけていただければと思います。
老眼鏡を掛けていると老眼が進むのは本当ですか?
いいえ。老眼鏡が老眼の進行を加速させることはありません。
老眼は誰にでも訪れる加齢現象のひとつなので、進む速度などの個人差はありますが、老眼鏡を掛けようが掛けまいが老眼の症状は進むものです。どうして、老眼鏡を掛けると老眼が進むと言われるかですが、老眼鏡をしている時と比べると老眼鏡を外したときの方が同じ距離で同じ文字の大きさなのに見づらくなりますよね。老眼鏡をかけている時の見やすさを脳が日に日に覚えていくので、老眼鏡を掛けている時と外した時の見え方に差が出来ていき、その積み重ねにより老眼鏡を外すと「老眼が進行した」という感覚を引き起こすのです。例えば、同じ例で近視の人も掛けていると近視が進むと聞く方もいると思いますが、これも老眼鏡と同じ理由で「近視が進行した」という感覚を引き起こすのです。
また、老眼鏡を掛けることで「もっと良く見たい」という気持ちが生まれ、特に既製老眼鏡を専門家のアドバイス無しに買われる方は、必要以上に強い度数に手を出してしまうこともあるようです。因みに稀に聞くのですが、老眼が進むという事をご理解いただいていない方が老眼鏡を購入した時に、これで老眼が進まないと勘違いされてしまう場合があります。老眼鏡はあくまでも老眼に対する道具の一つにつき、根本的な解決方法ではありませんのでご理解くださいますようお願いいたします。
老眼は何歳くらいから始まりますか?
手元の見づらさを感じ始めるのは40代が一般的です。
下記の表中に記載した45歳の近点(どれだけ近くまで見えるか)を見ると33cmとなっていますが、これは33cm離さないと見えないという事です。何かを見る時に33cmも離さないと見えないのは不便ですよね。それが理由で40代半ばから見づらさに気づき始めるようです。しかし、老眼に対する抵抗感からか、老眼鏡を掛け始めるのは数年我慢した後の40代後半から50代前半から掛ける方が多く、人によっては60代になってからいう方もいます。
因みにここで衝撃的な事実を一つ。厳密に言うと近くを見るために使う目の機能である調節力のピークは10~12歳と言われています。という事は、ピークを過ぎたら老眼か始まっているとも言えるのです。よって、老眼の始まりは10代半ばという答え方もあります。
老眼は何歳くらいまで進みますか?
個人差はありますが、だいたい70歳くらいまでは進行すると言われています。
一つ前のQ&Aで老眼の始まりは10代半ばとご紹介させて頂きましたが、老眼は20~30年掛けてゆっくりと進行していきます。しかし40代からは一気に進む傾向にあります。また、50代からは見えるところまで手を伸ばしても届かなかったり、小さい文字は離すと根本的に見えなかったりと道具に頼るしかなくなるので、いったいいつまで進むのだろうかと心配になる方もいらっしゃいます。
近くを見る時のピント合わせに使う調節力は70歳位になるとゼロに近い状態になってしまう為、いつまで進行するかと聞かれた場合は70歳位というお答えになります。それ以降は日々の生活状況に合わせての買い足しや、フレームの破損等による買い替えが続くことになります。
近眼(近視)の人は老眼にならないって本当ですか?
いいえ。近視の方でも「老眼」になります。
近視の方はそもそも遠くより近くがよく見える目をしているので、近くが見づらくなる老眼になっても近づけると見えるので、見づらさに気づきにくい傾向があります。また、普段からメガネを掛けている方で遠くを見るための度数を下げて使っている場合や数年前に買って遠くは見づらくなっているけど近くは見やすい度数を使っていても老眼に気づかないことがあります。その為、老眼鏡が必要になる時期が少し遅くなる場合があります。
具体的にご説明しますと、近視の方が遠くを見る時に使うメガネのレンズは-(マイナス)方向の度数が入っており、強度になるほど-(マイナス)の数字が増えていきます。逆に老眼鏡で使う度数は+(プラス)方向の度数を使い、度数が強くなるほど+(プラス)の数字が増えます。この度数の差引でメガネを外せば近くが見えてしまうことがあるのも「近眼の人は老眼にならない」と言われる理由の一つです。
50歳の方が近くを見る時に必要となる度数を+2.00として、元の目の状態によってどのようになるかを下図にしましたので、参考にしてみてください。
遠視や眼のいい人は老眼になりやすいのですか?
いいえ。なりやすいという事はありません。
遠視や眼のいい人(正視)は、近視の方のように-(マイナス)方向のレンズを必要としていませんので、老眼の症状を自覚しやすい状態にあります。よって、老眼になりやすいと思われがちですが、実際には近視の方も遠視の方も正視の方も老眼の進行に関してはほとんど変わりがありません。また、近視の方はメガネを外したり、近視の度数を下げてメガネを作ることで老眼に対処できる場合がありますが、遠視や正視の方は即、老眼鏡が必要になってしまうのもそう感じさせてしまう原因に一つかと思います。
老眼は誰もがなるのですか?
はい。「老眼」は誰もがなるものです。
先程から何回か書いているように「老眼」は誰にでも訪れる加齢現象の一つです。
因みに人は、目の中にある水晶体というレンズを毛様体筋という筋肉で引っ張ったり緩めたりすることで水晶体の厚みを変えてピントを合わせています。しかし、加齢により水晶体が硬くなって弾力性が弱まると十分な厚みに変化させることができなくなるのです。これが老眼の原因です。
老眼に気づいたら直ぐに老眼鏡を掛けた方が良いのですか?
個人差がありますが、見えないのがつらい場合は掛けた方が楽になります。
ここで問題となるのが、どのような影響があるかという事です。例として、仕事で細かい数字や資料に目を通さないといけない方が老眼世代になった時、見づらさから注意力を欠いてミスを犯してしまったとしたら影響が大きくなるかもしれません。説明書等の小さな文字を読むのが辛くて確認しなかったことで、身体に影響を及ぼすような事があったとしたら大変なことになりますよね。
そこまでの事が無いとしても、肩こりや目の疲れ、頭痛の原因となるようなら影響は大きいです。また、文字を読むのが前より億劫になり、生活の質の低下を起こすことも問題視されています。こういった場合は早めに老眼鏡を掛ける方が良いと思われます。最近は老けて見えないようなフレームで老眼鏡や遠近両用を作られる方も増えてらっしゃいますので、前向きに考えて店頭で若々しく見えるフレームを楽しみながら探していただくことをお奨めします。
老眼の人が使うメガネレンズってどういう種類があるの?
元の目の状態や見たい距離や作業時間に合わせて、各種レンズがあります。
一番安価でお手軽なものが近用単焦点のいわゆる老眼鏡といわれるものです。特に今までメガネを必要としなかった目の良い人が使うことが多いレンズです。もちろん眼鏡専門店で視力をしっかり確認し、ご自身の眼にあったものを作製していただくのが一番ですが、既製老眼鏡を試されるのも良いと思います。
次に遠近両用(えんきんりょうよう)ですが、これは元々の目の状態が近視の方で、一日中メガネを使用している方が老眼世代になった時にほぼ全員の方にお奨めしているレンズになります。昔はユレ・ユガミが原因で購入したはいいけど使いにくいという方もいらっしゃいましたが、今は昔と違って設計もだいぶ良くなりましたし、老眼の度数が弱いうちから始めれば、ほとんどの方が使用出来るようになります。コツは早めに使い始める事です。尚、元々目の良かった人でも年齢を重ねると目の状態が変化しますし、老眼鏡は掛け外しが面倒という事で、遠近両用をご利用されている方が多くいらっしゃいます。
中近両用(ちゅうきんりょうよう)は室内用の遠近両用とも言われ、お手元から数メートル先までをハッキリ見えるように設計されたレンズです。ご自宅や会社の事務所で過ごす時間が長い方にお奨めです。手元の広さやユガミの少なさから特に室内メインで使う方から使いやすいと評判で、遠近両用は外出用、中近両用は室内用という形で使い分けている方も多いです。因みに中近両用で運転は可能かたまに聞かれますが設計上運転用には作られていないので、基本的には運転に使うのはやめた方がいいです。
近々両用(きんきんりょうよう)レンズは遠近や中近の仲間と言うより、どちらかと言うと近用単焦点の老眼鏡の進化版といった種類のレンズです。近用単焦点の老眼鏡より少し先まで見えますので、パソコン等のデスクワークにも最適ですし、何よりも新聞を広げて見る時に視野の広さを実感できます。
最後にサポートレンズですが、これはスマホ老眼の方や若い方の疲れ軽減用として提案されることが多いレンズです。近視の方で遠近両用に移行する前に使っていただくと、遠近両用への移行が楽になるという使い方もお奨めです。
既製老眼鏡は目に良くないのですか?
既製品が必ずしも目に良くないという事はありませんが、長時間の利用はお奨めできません。
既製老眼鏡はあくまでも平均値から作った既製品です。よって個人個人の目の状態に合わせて作ったものではありませんので、眼を測定して作る老眼鏡とは違い長時間の使用は眼に負担をかける可能性があります。また、価格を安く抑えるために、低価格の素材を使って作られたものが多く、一般的なメガネと比べて品質が落ちることも影響する場合があります。
既製老眼鏡は、普段メガネを必要としない目の良い方が、初めて老眼鏡を使うときのお試し用として短時間使うなら、価格もお手頃ですので良いと思います。
老眼を自覚した時にルーペを買えばよいのですか?
老眼鏡とルーペは用途が違います。老眼には老眼鏡で対処してください。
「老眼鏡」は老眼で衰えてしまった調節力を補うものであり、パソコン、スマホ、読書、新聞など、見たい距離が決まっている場合に掛けるピントを合わせる道具です。既製老眼鏡には「+1.0、+2.5」などの数字が強さの目安として記載されています。
「ルーペ(虫眼鏡・拡大鏡)」は針に糸を通す時や一時的に細かい物を拡大したいときに使う大きく見せる道具です。強さの目安として「拡大率(倍率)1.32倍、1.6倍、1.85倍」と記載されています。ご利用になるシーンごとに切り替えて使用することをお奨めします。
尚、眼鏡型のルーペが流行したことで起きた事例として、眼鏡型ルーペを掛けたまま歩いて転倒し、怪我をされたという報告が消費者庁に寄せられています。ルーペは一時的に細かい物を拡大したいときに使ってください。眼鏡型のルーペを掛けたまま歩くことは危険ですので絶対に行わないでください。
老眼になると遠くの見え方も変わるのですか?
老眼によって直ぐに視力が落ちることはありません。
老眼になったからと言って直ぐに遠くも見えなくなるという事は無いのですが、ある程度の年齢になると遠くも近くも見づらい遠視傾向が出てきますので、目が良かった人ほど遠くも近くも見づらくなる場合があります。 また、近視の方も同じように遠視傾向が表れることで、若干ですが遠くを見る度数が弱まる傾向があります。
近視の場合、老眼になったらどうしたら良いですか?
近視の方はサポートレンズから遠近両用への移行が楽です!
近視で普段からメガネを掛けているという場合、近視の度数を下げると近くが見やすくなります。ただし、度数を下げると遠くは見づらくなりますので注意が必要です。お奨めは30代半ばまでは近視用の単焦点レンズ、30代半ばから40代半ばまではサポートレンズ、45代半ばから50歳を目安に遠近両用レンズと設計を変えていくことです。
あとは、文字を読む機会が多い方やパソコン作業が多い方は、50代半ばごろから遠近両用レンズだけでなく室内用の遠近両用とも呼ばれる「中近両用レンズ」との併用をお奨めします。
「老眼鏡」って何度も買換えが必要なのですか?
はい。老眼の進行に合わせて2~3年おきに買換えが必要です。
老眼は40代半ばで自覚し、70歳くらいまで徐々に進行していきますので、その時の目の状態やハッキリ見たい物までの距離に合わせて作り替えが必要です。たまに「買っても買ってもまた直ぐに買換えなのよね」と言われることがありますが、特に50代は進行が早く、しかもまだまだ社会生活を営んでいることからも致し方ないところがあります。ただし、60代になると進行がゆっくりになると言われておりますので、生活の質を落とさない為にも必要な投資と考えて頂ける方がよろしいかと思います。
老眼向けのメガネレンズ各種、大成堂でお試しいただけます
大成堂ではトライアルフレームとテストレンズを使って、いろいろなタイプのレンズの実際の見え方や使い方を体験して頂けます。ただし、いろいろなレンズをお試しいただくには少しお時間を頂くので時間に余裕がある状態で大成堂にご来店頂ければと思います。
最後に
老眼は誰にでも訪れる加齢現象の一つであり、残念ながら避けて通ることは出来ません。
それなら下手な抵抗をせずに正しい知識を身に着け、前向きに対処したほうが生活の質(QOL)は向上します。若々しく見えるメガネフレーム、老けて見えないメガネのかけ方、シーンに合ったメガネの使い方など、早い段階からいろいろと試して自分に合った対処方法を見つけてうまく利用し、生活の質(QOL)も向上させながら、アクティブに前向きにお過ごしください。
今回の記事はえんきん.com様より引用させていただきました。ありがとうございます。